Case02

コロナ禍での「受診控え」を解消する生活習慣病の重症化予防事業

日本国内で新型コロナウイルス感染症が広がり始めたばかりのころ、弊社がまず危惧したのは、外出自粛による健康診断の受診控えや持病の治療中断でした。実際に、新型コロナウイルス感染症が拡大するにつれて、通院していた人や通院の必要性がある人が、外出自粛や感染リスクへの不安を原因に、健診や予防接種、医療機関の受診を控える傾向にあります。

こうした状況のなか、日本医師会は、住民が安心して医療機関に来院できるよう、感染防止対策を徹底している医療機関に「みんなで安心マーク」を発行し、健診や予防接種のための受診を呼びかけています。また、各自治体の健診機関では、「感染症拡大予防ガイドライン」に基づいた感染症対策が行われていることをアピールし、がん検診や特定健診への受診を促しています。しかし、感染拡大から1年以上が過ぎ、医療機関受診者数の減少に関するデータが少しずつ公開され始め、「受診控え」の問題が改めて浮き彫りになっています。

特に、感染後の重症化リスクが高いとされている生活習慣病患者の受診控えは深刻な問題です。例えば、生活習慣病のひとつである糖尿病および糖尿病予備軍の患者は、医師の指導による血糖値のコントロールが極めて重要です。受診控えによりそのコントロールがうまくできず重症化すれば、網膜症や腎症、神経障害などの合併症の発症、そして腎症の悪化にともなう透析の導入にもつながります。そのため、コロナ禍であっても通院開始・再開を促す必要があるのです。
また、新型コロナウイルス感染症の拡大によるストレスの増加や、外出自粛にともなう運動不足が、生活習慣病のリスクを高めるおそれがあります。生活習慣病の兆候を見つけ出し、指導や治療の早期開始につなげるためにも、できるだけ多くの人に健診を受診してもらうことが非常に大切です。

そこでキャンサースキャンは、住民の健診結果データやレセプトデータを解析することで生活習慣病の未治療者・治療中断者を抽出・分類し、ソーシャルマーケティング手法に基づいた医療機関の受診を促すメッセージを開発しました。治療が必要な住民に、コロナ禍でも欠かさず治療に足を運んでもらえるよう、行動変容へ導く勧奨を行っています。

生活習慣病の重症化予防の効果は、明日明後日すぐに目に見えるものではありません。それでも、コロナ禍の制限された生活のなかで、一人でも多くの人が健康状態を維持できるよう効果的な手法を追及し、私たちのメッセージを受け取った人の健康を実現することで、将来の日本全体における医療費適正化を目指しています。

Case 01CKD未治療者への受療勧奨