Takumi Saito

臨床医から医療費分析事業のプレーヤーへ
キャリアチェンジで見えてきたもの

―齋藤さんのバックグラウンドと、キャンサースキャンとの出会いを教えてください。

前職は脳神経外科の臨床医です。約6年間勤務していましたが、ヘルスケア領域のデータサイエンティストになるという夢を叶えるため、退職を決意しました。
退職後はプログラミングスクールに入学し、プログラミングや機械学習、統計などを学びました。卒業後の就職先を探していた時に、偶然見つけたのがキャンサースキャンです。この会社に入って、最新のデータサイエンスと自分の医学知識や臨床医としての経験の掛け合わせで、社会に貢献したいと強く思うようになり、採用に応募しました。

―キャンサースキャンでのキャリアの変遷を教えてください。

入社後は、アナリティクスチームの一員として医療費分析事業に参画し、分析の要件定義、集計コード開発、分析結果の報告会などを担当しました。今年度からはアナリティクスチームのプレイングマネージャーとして、マネジメント業務にも携わりながら、コンソーシアム型疾患啓発事業のプロジェクトを担当しています。

―仕事のやりがいや楽しさは何ですか?

キャンサースキャンには、「人と社会を健康に」というミッションがあります。そして、その実現の手段のひとつがデータ分析です。
おもなクライアントである自治体は、レセプトや健診結果などの住民の健康に関する豊富なデータを持っています。しかし、それをどう活用すればいいかわからず、データをそのまま眠らせてしまっているケースがとても多いのです。
データには地域、そして住民を健康にするための、たくさんのヒントが潜んでいます。そこで私たちがデータをお預かりして分析し、その地域の健康課題を明らかにして改善策を立てることで、住民の方々の行動変容をより効果的なものにする。そうして初めて、データに価値が生まれます。そんなふうに、私たちのデータ分析が価値の創造につながっているところに、やりがいを感じます。私は前職が臨床医だったので、その知識や経験を無駄にせず、生かすかたちで事業に貢献できるということも、仕事のやりがいや喜びにつながっています。
また、分析をする際には、疾患の種類や医療費、介護に関連する制度など、さまざまな観点から仮説を立てて検証していきます。そこで新しい事実が明らかになったときや、課題解決の糸口を見つけることができたときにも楽しさを感じます。このように、「わからない」を可視化し、「わかる」に変えることこそが、データ分析という仕事の醍醐味のひとつだと思っています。

―仕事をしていて、難しいと感じることは何ですか?

私たちが取り扱っているデータは、そもそも分析を想定して集積されているものではありません。それを使えるかたちにするまで、非常に複雑な処理工程が必要になるので、その点に難しさを感じます。
また、私たちが知りたいことをより正確に把握するために、どのような定義で、どのような集計をするのが適切なのかを見極める必要があります。その見極めが非常に難しいのですが、成功したときは大きな達成感があります。

―キャンサースキャンに入ったからこそ成長できたと感じることはありますか?

前職では基本的に、医師や看護師など同じ医療業界の方々と仕事をしていましたが、キャンサースキャンに入社してからは、さまざまなバックグラウンドをもつ人たちと関わるようになりました。今まで知らなかった業界や職種のメンバーと関わることで、自分の視野が広がったという点は、大きな成長だと思っています。自分一人で仕事を進めるだけでは気が付けなかったことを指摘し、新しい視点を提示してくれる仲間と一緒に仕事をするからこそ見えてくるものや、気付かされることが多くあり、それがとても新鮮でした。

「病気を事前に防ぐ」というアプローチで
たくさんの人のQOLを守りたい

―元臨床医の視点から見た、キャンサースキャンの魅力は何ですか?

前職で脳神経外科にいた際に遭遇した疾患で、一番多かったのが脳卒中でした。そこで私ができることは、基本的に、起こってしまった脳卒中の被害を最小限に抑えることなのですが、脳は一度壊死すると再生することはありません。脳の壊死によって麻痺・失語などの後遺症に苦しむケースも多いため、脳卒中は患者さまのその後のQOLを大きく損なう疾患だといえます。
そのため、脳卒中はそもそも「ならないようにする」のが最善であり、再生医療の確立されていない現代では、予防が極めて重要なのです。
キャンサースキャンは、その予防の部分に、データ分析とマーケティング手法という新たなアプローチで関わることができるのが大きな魅力です。元臨床医の視点から見ても、病気にならないための対策を、たくさんの人に向けて実施できることは非常に意義のあることだと思っています。

―どんな人がアナリティクスチームに向いていると思いますか?

最近、機械学習や深層学習などが話題になっていますが、そうした技術を使うこと自体を目的にしたいという人はあまり向かないかもしれません。たとえ地道な前処理や集計であっても真摯に取り組み、「人と社会を健康に」というミッションに貢献したいと思う人や、予防医療の可能性を追求し続ける向上心を持っている人が、マインドとしては合っているのではないかと思います。

万野 智之ソーシャルマーケティング本部シニアマネージャー