Case 02

神奈川県横浜市のSMSによる受診率向上事業

長年、特定健診における若年層の受診率の低さは多くの市区町村共通の課題となっていました。全国的に受診率は高齢になるほど高まる傾向にあり、神奈川県横浜市でも特定健診の対象としては若い40-50代の低受診率が問題視されていました。そこで、新しいアプローチとしてスタートしたのが受診勧奨のデジタル化です。受診勧奨事業では主にはがきや封書が使われますが、ショートメッセージ(SMS)を活用することで、より効率よく、効果的にコミュニケーションを行う取り組みです。

日常的に使用するスマートフォンにメッセージを届けることで、効率的に対象者にアプローチすることが可能になります。限られた文字数でいかに効果的な内容にできるかが重要です。そこでキャンサースキャンが行ったのが、ナッジ理論を活用したメッセージの開発です。
今回ご紹介する効果検証では、40-50代の未経験者(過去3年間で特定健診の受診歴のない人)のうち、電話番号情報保有者をSMS送信対象者とし、メッセージの内容が異なる4グループに分けることで、メッセージ内容による勧奨の効果差を比較しました。

4つのメッセージのうち1つは一般的な文章で、残りの3つは「ナッジ理論」を用いて開発した文章です。ナッジ理論を用いたメッセージは、「規範」「インセンティブ」「simple&timely」の3タイプです。これらを受け取った対象者は、標準的なメッセージを受け取った人よりも受診率が高くなったことから、SMSにおいてもナッジ理論を用いたメッセージは、非ナッジのメッセージと比較して効果に差が出ることを実証しました。なお、ナッジ理論を用いたメッセージ間では大きな効果差はなく、どれも一定の効果を発揮しています。

SMSは複数回送付することで効果がさらに高まることがわかっています。行政でのデジタル活用はまだ始まったばかりですが、メッセージの工夫次第で効果的に受診勧奨を行うことができる事例として、全国へ発信していきたいと考えています。

Case01受診率向上効果