キャンサースキャンとアムジェン、大阪市における骨粗鬆症の二次骨折予防を目的とした官民連携による骨粗鬆症疾患啓発事業協定を締結
株式会社キャンサースキャン(本社:東京、代表取締役:福吉 潤、以下「キャンサースキャン」)、アムジェン株式会社(本社:東京、代表取締役社長:スティーブ・スギノ)は、この度、大阪市と「官民連携による骨粗しょう症疾患啓発事業(疾患啓発コモンズ)」に関する協定書を締結しました。
骨粗鬆症に起因する骨折の多くは、骨の強度が低下し、わずかな外力によって骨折が引き起こされる「脆弱性骨折」です。一度、脆弱性骨折を起こした骨粗鬆症の患者さんは、短期間のうちに次の骨折を連鎖的に引き起こす「二次骨折」のリスクが極めて高くなります。すでに生じた骨折自体が次の骨折の危険因子のひとつとされており、最初の骨折から1年以内に次の骨折を起こした人は23%、5年以内では54%に上るというデータ1もあることから、二次骨折の予防が骨粗鬆症を早期から治療する重要な根拠となっています。
この度の三者協定は、一度骨折を経験しているにも関わらず骨粗鬆症の治療が開始されていない方々に向けて二次骨折のリスクの啓発や、二次骨折予防のための受診を促し、骨折による寝たきりやそれに伴う介護負担の軽減を目的とするものです。
アムジェン株式会社の研究開発本部長 三好出は、次のように述べています。「骨折は歩行障害や寝たきりにつながり、患者さんご本人の人生を変えてしまうほどの深刻な事態であるとともに、介護・支援負担の増加にもつながる可能性の高い、社会が解決すべき重大な課題のひとつです。このような深刻な骨折のリスクを予見し、予防につなげていくことは当社の重要な取り組みのひとつであり、この事業を通じて少しでも課題解決に向けた環境づくりに貢献できることを願っています。」
キャンサースキャンの代表取締役 福吉潤は、次のように述べています。「弊社では行動変容のノウハウやレセプトデータを含むヘルスデータの解析技術を活用し、全国の自治体と各種健(検)診の受診率向上や、疾病の早期発見早期治療の促進に取り組んでまいりました。今回、大阪市、アムジェン株式会社との新たな官民連携の取組みにより、二次骨折予防の分野に弊社の知見を活用し、社会的課題の解決に貢献できることを期待しています。」
本事業の実施にあたって、大阪市とキャンサースキャン、アムジェン株式会社の三者は、地域における疾患啓発、行政と医療の連携支援を行い、地域の高齢化に伴う課題のひとつである「骨折」のうち特に二次骨折予防のための環境づくりの構築を目指します。
なお、今後、アムジェン株式会社とキャンサースキャンは、他の自治体とも同様の協定を取り交わし、骨折を経験した患者さんが二度目の骨折を起こさない環境づくりを目指し啓発活動に取り組む予定です。
脆弱性骨折について
世界的に、50歳以上の女性3人に1人、男性5人に1人が骨粗鬆症による脆弱性骨折を起こすとされており、高齢化に伴いこの数はさらに増加する見込みです。また、骨粗鬆症による脊椎や大腿骨近位部骨折は、日々の活動に著しく影響し患者さんのQOLを低下させ、救急病棟を含む通院を増やし、治療費の増加につながります3。大腿骨近位部骨折患者さんのその後の生存率は、一般人口より低い推移を示します4。こうした状況にもかかわらず、日本の骨粗鬆症患者さんのうち治療を受けている割合は、わずか20%程度(推定)に過ぎません5,6。また、脆弱性骨折は介護や寝たきりの要因でもあります。官公庁統計を基にした試算では、骨折・転倒を要因とする介護サービス負担は2018年には1.9-2.8兆円、その中でも家族による介護負担は0.8-1.7兆円と、最も大きな要素となっていることが報告されています7。
キャンサースキャンについて
キャンサースキャンは、人と社会を健康にすることをミッションに、データサイエンスとマーケティング、行動経済学、そして公衆衛生の専門知識を組み合わせた事業を展開しております。とりわけナッジ理論※の予防医療や疾患の早期発見・早期治療促進への活用に、早期に取り組み実績をあげてきたことにより、厚生労働省発行の受診率向上施策ハンドブック「明日から使えるナッジ理論」の制作を受託し、弊社が数年間にわたり蓄積した事業ノウハウを全国の自治体へ広める活動を行うほか、環境省及び日本版ナッジ・ユニットBESTと行動経済学会との連携によるコンテストにて「ベストナッジ賞」を受賞しております。
全国500以上の市町村での各種保健事業の実施支援を通じて、コミュニケーションを変え、社会の仕組みを変えながら、健康になるための行動変容にフリクションがない世界を目指しています。
ウェブサイト:https://cancerscan.jp/
※ナッジ(nudge)とは、直訳すると「ひじで軽く突く」という意味です。行動経済学や行動科学分野において、人々が強制によってではなく自発的に望ましい行動を選択するよう促す仕掛けや手法を示す用語として用いられています。2017年ノーベル経済学賞を受賞し、英国を代表に多くの国において補助金、税制、規制といった伝統的な政策手法に変わる「第4の政策手法」として活用が進められています。
アムジェン株式会社について
アムジェン株式会社は、世界最大規模の独立バイオテクノロジー企業である米国アムジェン社の日本法人です。2013年10月にアステラス製薬との合弁会社であるアステラス・アムジェン・バイオファーマとして事業を開始し、2020年4月1日にアムジェン社の完全子会社となり商号を変更しました。アムジェン株式会社では、循環器疾患、がん、骨疾患、炎症・免疫性疾患、神経疾患を始めとするアンメット・メディカル・ニーズが高い領域に焦点を絞り、現在約600人の従業員が、「To serve patients – 患者さんのために、今できるすべてを」というミッションのもと、臨床開発から販売までの活動を行っています。
アムジェン社について
アムジェン社は、重篤な疾患に苦しむ患者さんのために、生物学的に革新的な治療を探索・開発・製造・提供する可能性を切り開いていきます。このアプローチは、疾患の複雑性の解明と人体の生物学上の基本を理解するために、先進的なヒト遺伝学などの手法を活用することから始まります。
アムジェン社は、アンメット・メディカル・ニーズが大きい領域に焦点を絞り、生物製剤の製造に関する専門知識を活用して医療効果の向上と人々の生活に画期的な改善をもたらすソリューションを追求しています。1980年に創業したバイオテクノロジーのパイオニアであるアムジェン社は、世界最大の独立バイオテクノロジー企業に成長し、世界中の多くの患者さんに貢献しており、革新的な可能性が期待されるパイプラインを開発しています。
詳細については www.amgen.comをご覧になるか、ツイッターアカウント(www.twitter.com/amgen)をフォローしてください。
REFERENCE
1.van Geel TA, et al. Ann Rheum Dis. 2009; 68(1): 99-102.
2.厚生労働省: 平成28年 国民生活基礎調査の概況より
3.Fujiwara, S, et al. J Bone Miner Metab. 2019; 37(2): 307-318.
4.折茂肇: 日本臨牀. 2004; 62(増刊2):1-6.
5.International Osteoporosis Foundation. Patient Brochure.
http://share.iofbonehealth.org/WOD/2012/patient_brochure/WOD12-patient_brochure.pdf.
Accessed December 6, 2018.
6.Tsuboi M, et al:J Bone Joint Surg Br 89(4):461, 2007
7. ミリマン・インク 日本における骨折による介護負担とその推移‐官庁統計を用いた分析.
https://jp.milliman.com/-/media/milliman/importedfiles/uploadedfiles/insight/2019/client-report-fracture-care-cost.ashx